お詫びとお知らせ、、、というべきでしょうか?

突然のお話で恐縮ではございますが...
『道路よりベッドがいいね』を
途切れ途切れながら連載しておりましたが
今後、ブログでは書かないことにいたします
原稿を仕上げていつか出版できる運びにしたいと考えております
心待ちにされている方もいらっしゃると存じますが
ブログではもう発表いたしません
悪しからずご了承くださいませ
これが本になって本屋に並ぶ日をお待ちください
いつになるかは不明ですが、どうぞよろしくお願いいたします
まずはお詫びまで......
では又ごきげんよ~~っ

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2017.02.24 | | コメント(7) | トラックバック(0) | ストーリー



道路よりベッドがいいね--Vol.18--

『生活福祉課②』

部屋の中に入ると
そこには衝立で仕切られた所があった
長テーブルの両サイドにパイプ椅子が並べられ
長テーブルの上には一定の間隔で衝立が置かれている
一応プライバシーが保たれているということのようだ
そこの一角に案内された
対面で話せる形態だが
相談者側の椅子は一つしかなかった
一人の女性が丸椅子を
急ぎ足で運んできた
「どうぞ、これをお使いください」
女性はそう言うと
すごにその場を去っっていった
弘茂がパイプ椅子にドデンと座ったので
理冴は丸椅子にちょこんと座った
そうするしかなかったのであるが...
反対側に座ろうとした職員の青江であったが
座る動作を止めた
「資料を用意して参ります。しばらくお待ち願います」
そう言うと青江はその場を離れた
やがて、A4サイズほどの紙を数枚持ち青江が現れた
「まずお名前を確認させてくださいね」
青江はにこにことしながら
弘茂と理冴を交互に見た
そしてまず弘茂を見据え
「村上弘茂さんですね」と問うた
「あ、はい、そうですけど」
弘茂は小さい声で答えた
かろうじて青江には聞こえたようである
弘茂の声はそれほど小さかったのだ
「で、こちらの方は...」
青江は、弘茂に対して
理冴のことを聞いてるようである
理冴自身に尋ねるのではなく
弘茂に答えを促しているようである
何かの意図があるのだと理冴は直感的に思った
「ああ、あの、僕から言うと従兄弟ですよ」
素直に弘茂は答えている
理冴は二人のやりとりを見つつ
別のことに気を取られていた
役所という場所
何故、こんなにも殺風景なのか
花の一つでも飾ればいいのに
面白みのない空間だと
理冴は、しみじみ思うのであった
(つづく)

本日は短めに.....
取りあえずストーリーを展開させました
少しずつ進めたいと思っています
なかなか、行政とのやりとりは上手く書けないものですね
案外難しいものです
上手く運んでいけたらと思っています
今までよりも少し短めのスタンスで...
では又ごきげんよ~~っ

2017.02.07 | | コメント(4) | トラックバック(0) | ストーリー



道路よりベッドがいいね--Vol.17--

『生活福祉課①』

台所に立った理冴はまず
出汁を取る準備をした
鍋に水を入れてコンロにかけ
昆布の汚れをキッチンペーパーで拭き取り
その鍋に入れ、コンロの火をつけた
次に、鰹節を適量用意した
でも、まだ鍋に鰹節は入れない
沸騰直前に昆布を取り出し
鰹節はその後に入れるのである
美味しい出汁を作れば
当然味噌汁も美味しくできるものなのだ
理冴は、料理好きである
一人暮らしではあるが
そういうところは手抜きをしない
きちんと手順を踏んで料理することが
むしろ好きなのだ
ただ、手を抜くことは多々ある
仕事で疲れ切ったとき
気分が乗らないときなど
思いっきり手を抜く
一人暮らしならでは、ということかもしれない
ともかく、出汁を準備した後は
野菜を切り始めた
タマネギとキャベツを用意した
おおよそ味噌汁には合いそうにない野菜のようだが
これがけっこういけるのである。
理冴はある意味冒険家なのだ
長い間には、いろいろなものを作り
意外な組み合わせの料理方法を見つけたりしているのだった
タマネギとキャベツの味噌汁もその一つだ
料理ができあがっていく過程で
味噌汁特有のいい匂いが
部屋中に漂っていった

その匂いで目を覚ました弘茂が
台所へとやってきた
「あ、おはよう」
気づいた理冴は挨拶した
「いい匂いだね」
「もうすぐできるよ。ちょっと待ってて」
「うん、待ってるよ」
そう言うと弘茂は居間に行った
やがて、朝ご飯ができあがり
理冴が居間に運んだ
居間では、弘茂がスマホをいじっていた
その手は、相変わらず
軽やかな手さばきとは言いがたいが
恐ろしいほどの速さであった
「あ、とっても美味しそうだね」
弘茂が感動的に言った
どうやら弘茂という人物は
食事に対して、格別の思い入れがあるようである
食事に関しては反応が早いのだ
この日理冴が用意したのは
ご飯と味噌汁、焼きたらこ、ハムエッグ、白菜の即席漬け
なかなか渋い内容の食事だが
弘茂は、とても嬉しそうなのである
「気に入ってもらえて良かった。ご飯も味噌汁もおかわりあるからね」
理冴がそう言うと
「ほんと?嬉しいな」と言いつつ
弘茂は、テーブルに料理が並ぶのを待ちかねるように
ご飯にぱくつくのであった
ご飯を食べているときの弘茂は
無邪気そのものである
子供のようではあるが
悪気というものがない
酒を飲んで暴れるなど
考えられないような穏やかさも垣間見えるのだ
そのギャップが凄すぎる
理冴は改めて恐怖みたいなものを感じるのであった
本当に、このままでは大変だと思うのであった
「ねぇ、ご飯食べ終わったら、市役所行かない?」
理冴は、意を決したように弘茂ひ切り出した
「市役所?何しに行くの」
「あなたのことで電話があったのよ」
理冴は努めて冷静に
感情を入れないように言った
「僕?なんで、僕に…」
理冴はここで、言い方がまずかったと後悔した
難癖をつけて、弘茂はくどくど言うだけになる、と思ったからだ
しまった、後の祭りだと思ったが
意外にも…
「ああ、いいよ。行くよ僕」
あっさりOKした弘茂に拍子抜けの理冴だったが
安堵もするのだった
(良かった。もめなくて…でも、こいつ本当に分からん性格だわ)
ともかく、市役所には行けそうである
名実ともに安堵した理冴
食事やその片付けを終えてから身支度を始めるのだった
準備が整い、出かけることにした
ぼろぼろのコートを着た弘茂と一緒に歩くのは
正直、ためらわれると理冴が思うのをよそに
弘茂はすたすたと歩く
市役所までは電車で三駅である
特に問題もなく市役所にたどり着けた二人である
「生活福祉課だって。どこにあるのかな」
独り言ともとれる理冴の言葉に
弘茂が「あっちだよ、たぶん」と答えた
その窓口は中央入口から一番遠い場所のようであった
そこに無事到着して、理冴がまず様子をうかがうように
部屋の中をのぞき込んだ
「はい、何でしょうか」
すぐに応対の職員が出てきた
「ああ、あの村上と申します。今朝お電話いただいたものです」
「はい、私青江です。ようこそお越しくださいました」
なんと、電話をかけてきたその人本人であった
「お世話になります。従兄弟を連れてきました」
そう言いながら理冴は
少し離れた場所にいる弘茂を側に手で呼び寄せた
「ありがとうございます。弘茂さんですね。ようこそ」
青江は、弘茂に挨拶した後
部屋の中へと案内した
もちろん、理冴とともにである
生活福祉課というところ
理冴は一度も訪れたことのない部署だが
どういうところか、多少の見当はつく
どんな話になるのか
少し不安にもなる一瞬であった
(つづく)

この物語はフィクションです

なんと、この読み物を書くのは4ヶ月ぶりです
もう、こんな読み物があったことすら忘れられてるかもしれませんが…
また書き進めていきたいと思っていますので
よろしければお読みください
前話まではカテゴリー『ストーリー』に収まってます
どうか、そちらでお読みくださいませ
では又ごきげんよ~~っ

2016.12.26 | | コメント(2) | トラックバック(0) | ストーリー



道路よりベッドがいいね--Vol.16--

『え?市役所が何故?!』

受話器を落としそうになった理冴だったが
かろうじて体制を保ち電話に出ることができた
「はい、村上です」
「こちら、市役所の生活福祉課、青江です」
理冴は一瞬聞き間違えたかと思ったので聞き返した
「市役所の方ですか」
「はい、生活福祉課の青江です」
青江は、話を続ける
「そちらに、村上弘茂さん、いらっしゃいますよね
実は、弘茂さんのことでお話がございまして、お電話させていただきました」
「はぁ、おりますけど」
そう返すのがやっとの理冴であった
「昨夜。警察から連絡がございました。緊急連絡網のようなものがありましてね
保護の必要な市民がいるということでしたので、電話させていただいています」
さらに青江は続ける
「弘茂さんは、いろいろお困りのことがおありのようですね
保護の対象になるのではないか、という警察の判断でしたので
一度、弘茂さんとご一緒に市役所に来ていただけませんか
ゆっくり、お話を伺って今後どうするか考えてまいりたいと存じますので
是非、市役所にお越しください。窓口は生活福祉課です」
青江に説明で事の次第は、納得できた理冴である
「はい、分かりました。そちらに行けばいいんですね」
「はい、是非お越しください。お力になれると思いますので...」
理冴は少し驚いていた
行政が一人のために、一人のためだけに動くのか
と思うと、何か不思議な気がした
「今日がいいですか。今、弘茂は寝てますので...」
いいかけて、何を言ってるのだろうと思い
理冴は口ごもってしまった
「あ、いえ、今じゃなくて大丈夫です
大丈夫ですが、早い方が良いかとは思いますね
市役所は朝9時より夕方5時までですので
その時間帯にお願いしますね
私は青江と申しますが、席を外す場合もございます
私がいない場合でも分かるようにしておきます
どうか、よろしくお願いします」
「分かりました。できるだけ、今日行くようにします。ありがとうございます」
よく分かっていない理冴だったが
これはきっといいことなのだと思った
警察と行政の連係プレイみたいなものが
整っていることにも感動した
問題は弘茂だ
‘こいつ、素直に市役所なんて行くかな?’
今までの経緯から考えて、とても無理だろうと思う理冴だった
制服や権力的なものが嫌いそうな弘茂
市役所と聞いて、どんな反応を示すか
逆に楽しみだと思う理冴もそこにいた
それにしても、よく眠る鯔(とど)である
‘鯔ってけっして美味しそうな魚じゃないよね。まさに表現ぴったり’
実際、鯔って食べられる魚なのか、とも思い
苦笑いする理冴である
その時、鯔、いや弘茂が寝返りを打った
息をもらし、そろそろ目覚める様子をみせる弘茂であった
‘弘茂が目を覚ましたら、市役所に行こうかな’
そう決意した理冴
朝ご飯の支度を始めたのであった
(つづく)

この物語はフィクションです

物語は急展開の予感です
さて、どうなるんでしょうか
乞うご期待!
では又ごきげんよ~~っ

2016.08.21 | | コメント(4) | トラックバック(0) | ストーリー



道路よりベッドがいいね--Vol.15--

『またなの?④』

「おい! 神様に簡単に触るな!」
弘茂は、取り押さえようとする警官に
相変わらずの罵声を浴びせていた
夕べとまったく同じである
悪夢としかいいようがない状況だ
「そうか、神様なのか。神様ならもっと穏やかなんじゃないか」
「おまえたちが悪さをするから俺様は怒(いか)ってるんだ!」
「悪さ? どんな悪さでしょうか。具体的に述べてください、神様」
「俺様に触ることだ! 俺様を落とそうとしているんだろう!」
「落とす? どんな風に落としてるんですか」
「............」
弘茂を抑えている警官は2人いるのだが
その横で1人の警官が、立っていた
この警官、質問形式で言う口調が
なんともいえず穏やかで、上手い
いつしか、弘茂は静かになっていた
ただ、治療をしようと促した時点で
皆目言うことを聞かない
またぞろ叫び、暴れだすのであった
「それじゃあ、家に帰りましょうか、神様」
警官が言う
「僕、家はないんです」
弘茂が、一瞬正気に戻ったのかと見まごうほど
柔い口調でしおらしく言った
そこで、警官が理冴の方を向いた
「ご家族さんですか? お宅で引き受けていただけるのでしょうか」
「あ、はい。うちへ連れて帰ります」
理冴は言う
「お宅はどちらですか」
警官の問いに、理冴は自分の住む地域名を言った
「ああ、遠いですね。どうされますか。この時間だとタクシーになりますかね」
理冴は暫く考えた
電車かバスが走っている時間帯だとしても
ここからだと乗換が必要である
それほど辺鄙(へんぴ)な場所に来てしまっていた
タクシー代もそれなりに要るであろう
理冴は、意を決して聞いてみた
「あの、送ってはいただけないものですか」
「分かりました。いいでしょう。送りましょう」
「ありがとうございます」
しかし、ここからが大変である
医者も警官も嫌いな弘茂がそこにいるのだ
おとなしく警察の送りなどを認めるはずもない
果たして、どうなるやら
理冴が、言いようのない不安を覚えたのも事実である
だが、事態は意外なほどスムーズに運んだ
「さあ、神様、お送りしますので警察の車に乗ってください」
「送ってくれるのか。おまえはいい奴だな」
素直に従う弘茂だったのである
おとなしくパトカーに乗る弘茂がそこにいた
理冴は、おっかなびっくりである
嵐の前の静けさなのか、これは?と思うほど恐かった
パトカーに乗った後の弘茂は
警官に自分ストーリーみたいなものを話しはじめた
そもそも、この警官は話術が巧みというのか
こういう輩に慣れているのか
他に2人の警官がいるのだが
話をするのはこの警官1人である
おそらく、そういうやり方なのであろう
取り押さえられていたときには
夕べと同じく、悪夢の絶頂であったが
この警官が口を挟んでからというもの
ことが順調に運ぶのである
一通り話を聞いた警官は
それをおうむ返しのごとく話す
「そうかそうか、朝早く起きてドヤ街の決まった場所に行って
仕事の声がかかるのを待つんだね。賃金は日払いで
仕事にありつけた夜は好きな酒を飲んで過ごすわけか」
「そうなんだ。仕事口はすぐに無くなるから早く行って順番を取るんだよ」
「それじゃ、毎日が戦争だな」
「いや、戦争とは思わないよ。これはこれで楽しいさ」
「楽しいのか、そうか。それは良かったな」
理冴は、傍らで2人の会話を聞き思っていた
普通に世間話している
それが何ともいえず、可笑(おか)しかった
理冴の住むマンションに着き
ずっと話していた警官に付き添われ
部屋まで帰ってきた理冴と弘茂である
悪夢はそれほど続かず無事に戻ってこれたことが
理冴にとって、なによりであった
最後に弘茂がこの警官に固く抱擁されるのを見て
ただただ、頭の下がる思いの理冴であった
しかし、悩まねばならぬことに気づき
また焦りの境地に落ちる理冴である
布団がないのだ
まさか1つの布団で一緒に寝るわけにもいかないであろう
いくら従兄弟とはいえ、異性なのだ
しかも、何かしら臭い
とてもそんなことは無理だ、と思っている理冴をよそに
弘茂は居間のカーペットの上にごろんと横たわった
「おやすみなさい」
そういうとなんと寝てしまった
いきなり深い眠りについたようである
鯔(とど)が急速冷凍でもされたかのように
ぴくりとも動かなくなった
‘やれやれ’
理冴は、呆れてしまったが
悩むことが一切ないことに気づき
自分の布団に入り安心しきって寝ることにした

次の日、けたたましく鳴る固定電話に
起こされたときには、朝の9時を回っていた
理冴は飛び起き電話に出る
隣の部屋から小走りで電話まで来た理冴
勢いあまって、受話器を落としそうになってしまったのだった
すっかり夜は明け、太陽の光が窓のカーテン越しに輝いていた
(つづく)

この物語はフィクションです

では又ごきげんよ~~っ

2016.08.14 | | コメント(4) | トラックバック(0) | ストーリー



道路よりベッドがいいね--Vol.14--

『またなの?③』

理冴が、その大きな魚を眺めているうちに
救急車は病院に着いた
隣の市が数メートルと迫っている場所の病院であった
「実は救急車に乗せてから搬送先の病院が見つかるまでかなりの時間を要しまして...
なかなか受け入れ先が見つからなくてね。こんな辺鄙な所になってしまいました」
救急隊員の一人が、理冴に説明した
なかば言い訳ともとれる説明である
だがしかし、それが現状なのかもしれない
暴れているとなると、病院側は嫌であろう
理冴は、それに対して特に何も言わず
一番に救急車を降りた
そうでないと、患者を降ろせないのが事実であるからだ
その病院の救急入口には看護師数名が待機していた
迅速に院内へと運ばれる弘茂であった
「ご家族さんでいらっしゃいますか」
看護師の一人が理冴に声をかける
「はい、そうです」答える理冴
「恐れ入ります。ご家族さんはこちらの救急待合室でお待ちください」
看護師に案内され、理冴は待合室に入った
‘そうだわね、治療中は入れてくれないよね’
そんなことを思いつつ
理冴は待つことにした

どれくらい待ったであろうか
やがて理冴は看護師に呼ばれ
処置室に入ることとなる
処置室では鯔が暴れていた
‘はぁ、またかよ’
理冴は、声にならないため息を吐いた
暴れる弘茂を二、三人の男性が押さえていた
おそらくインターンか、もしくは男性の看護師かもしれないが
男性三人がかりで、なんとかくい止めている様子である
弘茂を抑えている男性たちよりは
少し年上に見える男性がその横にいた
だが、かなり若いのだ
その男性が理冴の元に歩み寄ってきた
どうやら医師のようである
「あ、どうも。ずっとあの状態でしてね。治療できないんですよ」
「はぁ、申し訳ないです」
「一応、頭のCTは撮りました。その結果では大事無いですが...」
「昨日も怪我されたようですね。今日とは別で」
淡々と喋る医師であった
「昨日は...」
理冴は昨日あった出来事を細かく説明した
そして、今日も怪我をしたのだ、ということは知らされてないとも言った
「今日も、どこかにぶつけたんでしょう。新しく傷ができてます。しかし、これはほんのかすり傷ですね」
「本当にお手を煩わせてすみません」
理冴は、こう言うのが精いっぱいだった
他にうまい言葉が見つからないのである
そうこうするうち、弘茂が診察台から降り、仁王立ちになった
なんと押さえていた男性たちを、振りほどいてしまったのだ
弘茂は医師の元に近寄ろうとする
かろうじて一人が捕まえた
「これほど暴れられては、こちらとしても対応ができかねますね」
「と、言われても、どうすればいいんですか」
理冴は少し困惑してしまった
‘病院で治療ができない。何故?’
‘そういえば、外国の医療ドラマなんかで
暴れる患者に鎮静剤注射しておとなしくさせる場面があったっけ
そんなことはしないのね。そこまではしない。できない?...」
などという思いが理冴の頭を巡っていた
「もうこれは、警察に保護してもらうのが得策でしょう」
医師はそう言った
「うちでは治療できません」
理冴は、腹立たしくあるのだが、反論もできないでいた
「警察呼んでいいですか」
医師にそう言われた
‘なんで、こうなるの’
なさけないというか切ないというか
訳わからぬ感情が理冴にあるのだが勢いで
「はい、いいです。呼んでください」と言ってしまった

警察官は直にやって来た
管轄が違うらしい
隣の市の警察のようだ
また、あの問答が始まるのか
と、理冴はふと逃げたいと思った
悪夢再びである
救急外来の静けさのなかに怒号が飛び交う様子は
なんとも奇妙なものであった
午前零時を過ぎ、すでに新しい日がスタートしていた
(つづく)

この物語はフィクションです

なかなか話が前に進みませんが
このくだりはそろそろ終わります
もう少しお付き合いくださいませ
では又ごきげんよ~~っ

2016.08.12 | | コメント(4) | トラックバック(0) | ストーリー



道路よりベッドがいいね--Vol.13--

『またなの?②』

ダウンコートに身を包み
理冴は、駅前へと続く夜の道を急いだ
駅前交番が見えてきた
その光景に息をのむ理冴であった
‘まさか! この光景の張本人が弘茂じゃないよな’
そう思うと一気に不安と焦りが襲ってくる
その、目の前の光景とは...
救急車の赤色灯が夜空と街並みを焦がし
救急隊や警官やらの制服が群れていたのだ
見物人も何人かいた
理冴は群れに恐る恐る近づき
肩をすぼめ小さくなって
その中へと入りこんだ
一人の警官に声をかけた
「村上ですが、お電話をいただいたので...」
「はい、村上さん...弘茂さんは今救急車の中です...少々お待ちください」
そう言うと、理冴から離れて行き
別の警官になにやら報告した
報告されたであろう警官が理冴のもとにやって来た
「今、弘茂さんは救急車の中です。今から病院へ搬送しますので一緒に乗ってください」
やって来た警官がそう言った
「分かりました」
理冴は、それに応じた
もはや、制服の群れも見物人の集団も気にならなくなっていた
実は外からの風景と内からのそれの違いがそこにあるから
気にならなくなるといった現象が起こり得るのである
救急車の車内に入ると弘茂が横たわっていた
泥酔していた
しかし、突如目を覚まし
手足をバタバタと揺らすのである
そのたびにストレッチャー様のベッドがきしむのであった
胴体はくくりつけられていた
なので、動かせるのは手足だけということになる
しかし、暴れ方が尋常ではないのだ
「はいはい、村上さん、今から病院へ行きますよ」
救命士が声をかける
「びょ、びょうい...ん............??!」
殆どろれつが回っていない状態で
弘茂はわめいているばかりである
理冴の思考が完全に止まってしまった
目も見えているが
耳も聞こえているが
脳が死んでいるといえるのか
情報が伝わらない状態なのである
「では、病院へ向かいます。受け入れ先病院が出ましたので搬送開始します」
弘茂の横で見守るのとは別の救急隊員がそう言った
やがて、救急車が動き出す
サイレンの音
救急車独特の音
暗闇に突き刺さるように辺り一面に響く音
理冴の心の奥にまでその音は響いてくる
理冴にとっては、なんとも形容のしがたい音であった
弘茂は相変わらずバタバタとしている
まるで陸に上がった魚のようであった
それも大きな大きな魚である
鯔(とど)か何かの.....
(つづく)

※この物語はフィクションです

今日は取りあえずつなぎ的な展開です
次回、どうなることやら...お楽しみに!
では又ごきげんよ~~っ

2016.07.28 | | コメント(10) | トラックバック(0) | ストーリー



道路よりベッドがいいね--Vil.12--

『またなの?①』

理冴は、薬局に出かける前そのままにしていった
食器類を片づけはじめた
流し台まで持って行ってはいたが
洗わずに放置していたのだった
洗い物を終わらせ、居間に戻ると
弘茂は寝ていた
その寝顔は、あどけない少年だった
もう50を過ぎているのだが
年齢を全く感じさせないその風貌である
‘しかし、なんで、こんなことになるんだろう’
理冴は、なんとも妙な気分だった
まるっきり別の世界に、足を踏み入れた感がぬぐえないでいた

理冴は、会社の同僚に電話してみた
「もしもし」同僚は直ぐに出た
「もしもし、村上だけど」
「ああ、何? 日曜の朝っぱらから」
「あのね、わたし明日会社休むわ。家族にちょっと問題ができて...」
途中まで言ったところで同僚が口をはさんだ
「とうとう、お父さんが逝ったの?」
「ああ、いや、それは違うんだけど」
そうなのだ
実は、理冴の父が現在入院中で
いつ何があってもおかしくない状況なのであった
ただ、今のところ症状が安定しているので
直ぐに何かがあるわけではない、と、
主治医から言われているのである
「父は大丈夫だけどね。従兄弟がちょっと...」
「従兄弟? 交通事故かなんか?」
「ま、そんなとこ」
「大変ね。今、実家帰ってるの?」
携帯電話からかけたので
どこからかけているかの特定はできない
理冴は、これ幸いとばかりに「そう、ちょっと里帰りしてる」と言った
「そうか。故郷遠いもんね。分かった、明日、上司に言っとくわ。気をつけてね」
「ありがとう。よろしく。恩に着るわ」
‘これでよし’理冴はほっとした
嘘をついてしまったが、仕方ないと思った
これで、2、3日会社を休むことができるであろう
不本意なやり方だが、あれこれ説明して
上司を説得するのも、骨の折れる話である
これでいいと思った

同僚との通話を終えた理冴は
テーブルの上に置いていた薬局の袋を取り
中の商品を全部出した
消毒液、ピンセット、ヨードチンキ、ガーゼ、包帯、頭部用のネット包帯まであった
痛み止めも入っていた
それらの中から消毒液を取り、蓋を開けた
弘茂が寝てる間に手当てをしようと試みたのだ
しかし、消毒液を開けたところで
弘茂は起きてしまった
「あ、手当なんていいよ」
「僕ね、元有名大学医学部出身の知り合いがいるんだ」
「今から、そこへ行って見てもらうよ」
もの凄い早口でそんなことを言う弘茂である
「医者の知り合いいるの?」理冴はいぶかしげに訊く
「うん、いるよ。今、ちょっと行ってくる」
そう言うと、弘茂はすっと立ち
出て行こうとするのである
「じゃあ、これ持って行きなよ。せっかく買ったんだから」
理冴は手当の道具一式を弘茂に渡そうとした
受け取った弘茂である
「ありがとう、貰っとくよ」
そう言ったかと思うと、玄関まで行った
三和土(たたき)に置いてある荷物から何かを出した
それは、帽子だった
帽子を被り、マスクをした弘茂は
「じゃあね」と言って、玄関を出た
その間、おそらく十数秒のできごとであろう
案外、身のこなしが早いものだ
弘茂の機敏さに感心した
理冴は、怪しい世界に引き込まれながらも
この心地よさみたいなものに浸っていた
それは、まさに変な錯覚なのだが...

弘茂がいなくなったあと
理冴はとりあえず枕と布団を
ベランダに放り出した
枕も敷布団も血で真っ赤、どろどろの状態であった
‘どうする、これ’
布団というものは大きい
地域のゴミとして出すのも大変である
まして、血だらけの布団なのだ
暫く考え込む理冴
ベランダの空気は思いのほか冷たかった
それもそのはず
季節は冬なのだ
2月の寒風吹きすさむ中
小一時間も外にいれば
凍えてしまうのは当然だ
ハックション~~~ッ
大きな大きなくしゃみを1つ2つして
理冴は、部屋に入った
枕と布団は、ベランダに残したままで...

そして気づいた
畳の上にも血がついていることを...
理冴は洗面器に水を張り、持ってきて
それを雑巾で拭き始めた
寒い時期、お湯を使いたいところだが
お湯だと血が固まってしまう虞(おそれ)がある
手がかじかむのを我慢しつつ
念入りに畳を拭く理冴であった

とりあえず、血の汚れは消えた
ついでにすべての部屋に掃除機をかけ
トイレ掃除もした
台所も本格的に掃除した
換気扇も然りである
食事の用意もした
そのうち日も暮れ、辺りは真っ暗になった
どれほど念入りに掃除をしたか、ということの証明のような展開だ
弘茂が喜びそうなメニューを作った
が、しかし、帰ってこない
理冴は昼ご飯も食べずに掃除したので
お腹が空いていた
だが、弘茂が帰ってこない
仕方がなかった
テレビでも見つつ、待つしかないようだ
夜更けの11時になって、電話が鳴った
「はい、村上です」
鳴ったのが固定電話だったので、理冴は名字を名乗った
固定電話に出るときには、いつもそうしている
「駅前交番です」
‘何? 弘茂がまた何かしたの’
「村上弘茂さん、お宅の方でしょうか」
「そうです。私の従兄弟ですが」
「その方が駅前の道路で寝てまして、保護しています。
ご足労ですが、駅前交番まで来ていただけますか」
「はい、分かりました」
力なく答えた理冴であった
電話を切り、急いで身を整え
駅前に続く道を小走りで行く理冴であった
‘またなの’
怒りなのか諦めなのか
複雑な思いが理冴の心を支配していった
(つづく)

※この物語はフィクションです

では又ごきげんよ~~っ

2016.07.19 | | コメント(4) | トラックバック(0) | ストーリー



道路よりベッドがいいね--Vol.11--

『とりあえず消毒ね』

血で真っ赤に染まった布団
これを、どうにかしなくては...
そればっかり考えてしまう理冴がそこにいた
だが、その考えも吹っ飛んだ
その理由は弘茂が「僕、出かけるよ」と言ったからであった
理冴はわが耳を疑った
そんな馬鹿げた言葉が聞こえるとは
思ってもいないから、疑うしかなかったわけである
「仕事探しに行くよ」
またもや予期せぬ、言葉が聞こえた
「そんな怪我で仕事って?...あなた馬鹿じゃないの!」
「馬鹿かな、僕...」
「馬鹿だよ」
弘茂は何故か黙った
暫く考えている風(ふう)だった
「頭から血出てるじゃない?それが止まるまではここにいてよ」
何か考えている様子の弘茂
「血出てたら、仕事なんてさせてくれないよ」
理冴は思いついたように言った
これは説得力のある言葉だと我ながら感心したものだった
「そうだね。そういや、僕、出血してるんだったね」
「そうよ。その血、病院行かないと止まらないかもよ」
タオルで頭を撫で、それを検(あらた)める弘茂
「すごく出てるね、僕の血。これは神の源の血だから問題はないけどね」
‘神の血って、こいつ本当に馬鹿なのか’
理冴は思わず声を荒げて怒鳴りたかったが、ぐっと堪えていた
おそらく精神状態が正常ではないと考えたからだ
とにかく、相手を否定せず、しかしながら同調もせず
穏便に過ごさねばと、そればかり思った
「そうか、ごめんね。布団こんなに汚しちゃったね」
弘茂の妙な冷静さがなんとも哀れにさえ
見えてくる理冴であった
「しばらくすれば、止まるから大丈夫だよ」
「血なんて、永久には出ないからね」
なんとも形容のしがたい言葉が
弘茂の口から矢継ぎ早に出てくるのである
ほとんど違う世界の出来事のように理冴は思った
目の前の光景から逃げたいと願う理冴は
その上手い口実を見つけた
「お腹空かない?朝ご飯の用意するわ」
そう言って、台所に移ったのであった
そろそろと夜が明けはじめていた

やがて理冴は、ご飯とみそ汁、ハムエッグにキャベツと油揚げの酢の物を
居間のテーブルに並べた
「うわ、美味しそうだね。これ、食べていいの」
弘茂は喜んだ
食事には目が無いようである
「もちろん食べていいよ。食べたらびょうい...」
言いかけて、理沙は止めた
‘病院は止めとこ。とりあえず平気そうだから、このままで
暴れでもされたら私には止められない’
内心そう思いつつ、理冴も一緒に食事をした
理冴には、一つ考えが浮かんだ
‘薬局へ行こう。店の開く時間になったら出かけよう’
消毒だけでもすれば、なんとかなるだろうと思ったのである
それにしても
これだけ出血して平気でいられるとは、どういうことなのか
理冴には、到底理解できない現象なのであった
摩訶不思議なのだ

薬局が開くであろう時間になって
理冴は出かけることにした
弘茂はスマホをいじりつつ、おとなしくしている
血染めの布団が、どうにも気になるところだが仕方ない
見ないでおこうと、半ば悟りの境地の理冴だった
「ちょっと用事があるから出かける。留守番お願い」
理冴がそう言うと、弘茂は片手を振った
何処へ行くとはあえて言わずに出た理冴
薬局は駅前の通りを少し行った所にある
理冴は、薬局に行く道すがら考えた
‘今日は日曜日だからいいとして、明日どうしよう。仕事休まなきゃ’
あの怪我人をどうにかしなくてはいけない
さしあたっての問題である
何しろ、普通ではないのだ
とてもじゃないが、これは会社なんて行っていられない
理冴は考えあぐねていた
やがて薬局に着いた
「いらっしゃいませ」
店内に入るとレジ打ちやら品出しの店員が声をかけてきた
理冴は、コーナーにいた白衣を着た薬剤師であろう店員に声をかけた
「消毒液ください」
「はい、こちらでございます」
薬剤師は、理冴を消毒液のコーナーに案内した
理冴は、すかさず従兄弟の怪我の状況を細かく説明した
「なるほど、そうですか。あり得る話なんですよ
夕べ暴れるほどお酒を召し上がったんでしょう?
まだ、アルコールが抜けてないと思われますね
痛みを感じないのは事実です。分からないんですよ
精神状態については、詳しくないので申せませんが
一時的な錯乱も、ないとは言えないですからね」
薬剤師は、傷を手当てできるであろう一連の薬群を用意して
「レジまでお持ちしますね。念のため痛み止めも用意しましょうか」
と、レジまで品物を運んでくれた
そして、どこかに行き、痛み止めらしき飲み薬を持ってきた
「完全にアルコールが抜けたら、病院に行くって、きっと本人が言いますよ」
理冴は、薬剤師のその言葉を信じることにした
いや信じたかった。縋りたかった
会計を済ませ、店を出た理冴は駅前のスーパーにも寄った
食料を大量に調達した
なにしろ一人暮らし、普段は少ない食料で間に合う
だが今は、客が居座っているのだ
食料調達は必須であった
自宅に帰った理冴は、弘茂の手当てをすることにした
「ねぇ、ちょっと傷見せて。消毒しとこうよ」
「え、いいよ。大丈夫だよ」
案の定である
覚悟はしていたが、やっぱりだ
どうやら傷には触らせてもらえないようである
理冴は、あっさり諦めた
買ってきた手当の道具を袋から出しもせずテーブルに置いた
それよりも、弘茂がおとなしく留守番していたことに
思いを持っていき、感謝した
「ありがとう。チョコレート買ってきたから食べる?」
そう言うと理冴は、弘茂にアーモンド入りのチョコレートを一箱渡した
外装フィルムをはがし箱を開け、袋を破って中身を出し
パクパクとチョコレートを食べる弘茂である
あっという間に一箱が空になった
‘えっ、少しくらい分けてくれるかと思ったのに。おまえ一人で全部食べるか!’
理冴は、少々憤慨した
それにしても、いつ痛いと言ってくるのだろう
果たして、病院に行きたいって言うのだろうか
薬剤師の言葉が空想で終わる気もしないではない理冴であった
(つづく)

※この物語はフィクションです

久しぶりの「道路より~~」です
空想と現実が入り混じったような
面白い世界観だとは思いませんか?
読み手によっては面白いストーリーかな
と、思っています
毒舌、辛口コメントお待ちしています
誤字脱字があるかもしれません
お目こぼしのほど宜しくです
では又ごきげんよ~~っ

2016.07.17 | | コメント(4) | トラックバック(0) | ストーリー



道路よりベッドがいいね--Vol.10--

『壊れてるよ』

弘茂は泥のように眠っていた
理冴も眠りたかったが、そうもいかない
何しろ、ここで横たわっている人物は
頭から血を流しているのである
放っといて何かあったら一大事なのだ
様子を見なくてはいけない
理冴はしばらく弘茂の泥酔ぶりを眺めてる決意をしたのであった

ボトンッ
玄関から聞こえたその音で目が覚めた
朝刊が玄関扉の郵便受けに入った音である
‘ああ、完全に寝ちゃったわ’
弘茂が寝ている横で
まるで猫のようにまん丸くなって理冴は眠ってしまっていた
体のあちこちが痛かった
理冴は肩を数回回し、そして首も回した
痛みが少しまぎれた理冴は、新聞を取りに玄関に行った
新聞を広げつ居間に戻った理冴を
うつろな目で弘茂が見ていた
弘茂は、理冴が玄関に行くわずかな時間で目を覚ましたのだった
理冴は息をのんだ
むくっと上体を起こした弘茂の
寝ていたときに頭があったであろうその部分に
なんと血の海ができていたのだった
もっとも海は表現がオーバーかもしれないが
明らかにそこにあるのは血の塊であった
「まだ、血止まってなかったのね」
焦りながら言う理冴に弘茂は動じることもなく
「う?何...あ、僕怪我したんだね」と言うのである
「そんな、のんきそうに言って。痛くないの?」
「ううん。そんなにはね」
「ってか、夕べ、何があったの? ねぇ、説明してよ」
「ああ、夕べ? 誰かに蹴飛ばされたみたい...ははは...」
どうも要領を得ない弘茂の言動である
そもそも笑うことなのか
理冴は、自分の目の前に起こっている現象が
確認すらできない世迷い言なのかと思った
世迷い言というのは本来訳の分からない愚痴とかを指す言葉だが
弘茂が話すことというのは、まさに世迷い言なのである
「誰かが僕のことを陥れようとしてるんだよ。夕べもそうだったんだから...
みんなが寄ってたかって僕の行く手を阻むんだ。僕は何もしてない。道を歩いてるだけだったのに」
そんなことを言う弘茂の耳たぶの後ろ側を
血のしずくが垂れてきた
「え! 大変!! まだ血止まってないじゃんか」
理冴は慌てて立ち上がり押入れからバスタオルを引っ張り出した
そして、それを弘茂に渡した
「これで、耳の後ろ押さえて」
「ああ、え? まだ血出てる?」
「出てるから押さえてよ」
理冴は本気で怖いと思った
目の前にいるのは人間なのか
人間だとしたら絶対におかしいと思った
今までの常識というものが音を立てて崩れ落ちていくような
何にもまして、気味悪さに似たものがあった
「ねぇ、病院行こうよ。手当してもらわないとね」
「病院? 大丈夫だよ。はは、気にしなくていいんだよ」
「気にしなくてって? それ、普通じゃないのに」
理冴は固定電話の受話器に手をかけながら
「救急車呼ぶね。何かあったら119番していいって言われてるし」と弘茂に向かって言った
「そんなの呼ばなくていいよ。大丈夫なんだから...」
「だって」
「いいんだってば!」
弘茂の目がすわった
この目のすわり方、前にも見たと感じた
そうだ。風呂に入るよう勧めたときにもこんな目をしたのだ
理冴は、もはやなす術がなかった
受話器から手をどけた
何がおかしいのだろう
何が何だか分からなくなる理冴であった
実はおかしいのは自分自身ではないか、とさえ思えてきた
とにかく冷静になろう
深呼吸を一つしてみる理冴であった
それにしても、敷布団が血だらけなのが気になる
枕も当然のごとく真っ赤だ
妙な冷静さを取り戻した理冴は
そのことについて頭を悩ませはじめるのであった
窓の外はまだ暗い
冬の朝は、当然のことだが明けるのが遅い
ただ、遠くのビル街の灯があるので
漆黒の闇にはならないのであった
(つづく)

※この物語はフィクションです

この物語、なかなか前に進みませんが
もう少しお付き合いくださいね
そのうち終わりますので...
しつこく申しますがハッピーエンドですので
その辺りはご期待くださいませ
では又ごきげんよ~~っ

2016.07.02 | | コメント(4) | トラックバック(0) | ストーリー



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